Professionalism 撹拌機+撹拌槽+インターナル
一体提案のメリット

01 撹拌機+撹拌槽+インターナルの一体提案のメリット 撹拌機+撹拌槽+インターナルの一体提案のメリット
最適提案 Optimal Engineering

当社では、 経験豊富なエンジニアがお客様の課題に応じた最適なソリューションをご提案する「最適提案」に、 長年に亘り取り組んでいます。
特に、 全世界で約2,000機の納入実績を持つ当社の撹拌槽ソリューションは、 撹拌機、 撹拌槽、 そしてコイルなどのインターナル装置を、 それぞれ個別の要素としてではなく「一体のモノ」として捉えた提案を心がけています。
なぜ一体提案が重要なのか。 また、 それがお客様にもたらすメリットはどのようなものがあるのか。 当社技術部の竹中に話を聞きました。

一体提案により、お客様に安心感を

なぜ、 一体提案が重要なのでしょうか。

撹拌について『混ぜる』といっても様々です。 液中に材料を分散させればいい、 つまりただ混ぜればいいということであれば話は非常に簡単ですが、 例えばポリマーの生産の場合、 途端に話は複雑になります。
混ぜるモノの流動状態だけではなく、 重合による反応熱を意識する必要が生じるからです。
反応の種類や機器のサイズなど複合的な要因を意識しながら、 反応熱をどう処理していくかを考えなければなりません。

コイルで除熱をする場合は、 撹拌槽のどこに、 どの程度のコイルを設置するのか、 コイルに流す冷媒を供給するためにどれくらいの性能のポンプが必要か、 それにより、 槽内の流動がどうなるかなど、 大小様々な検討事項が発生します。 こういう状況の中で撹拌機はA社、 撹拌槽はB社、 インターナル一式はエンジニアリング会社が手配して…ということになると、 コイルでの除熱はどの会社の責任所掌になるでしょうか。 仮にA社が「計算上はこれだけの除熱性能があれば大丈夫ですよ。 」ということを提案できたとしても、 エンジニアリング会社はその除熱性能を満たせるだけの流量を持つ水循環ポンプをすんなりと選定できるでしょうか。 これはお客様にとっては非常に不安だと思いますし、 まかり間違えばプロセス全体がストップしかねない、 大変なリスクだと言えます。

一体提案でない場合、 お客様が潜在的なリスクを負わざるを得ない状況になるということですね。

当社は、 撹拌機も撹拌槽もインターナルも全て一体で提案するノウハウを持っています。 撹拌機だけ、 槽(リアクター)だけ扱う企業はたくさん存在しますが、 全て一体で扱えるメーカーは世界的にもごくわずかです。 ですから、 撹拌機と撹拌槽とインターナルのマッチングからポンプの流量に至るまで、 細かな検討事項をカバーした提案ができるのは、 国内外で約2,000機に及ぶ一体提案の経験から来るノウハウを持つ当社だからこその強みだと思っています。 こうすることで最適条件での撹拌が実現できることはもちろん、 お客様は責任所掌を気にする必要はなくなりますので、 リスク管理という観点からも非常に大きなメリットがあるのではないでしょうか。

また、 一体提案のもう一つのメリットとして、 提案スピードの速さが挙げられます。 除熱のためのコイルにせよ、 撹拌効率アップのためのバッフルにせよ、 ノウハウが無い場合はシミュレーションのために相応の期間が必要だと思います。 当社は机上の計算ではなく、 これまでの導入経験に根ざした検討を行いますので、 よりスピーディーに、 より現実的なプランをご提案できます。

提案の引き出しを増やすことの大切さ

日々仕事をしていく中で、 お客様からはどのような声がありますか。

「住友だったら安心。 」とよく言っていただきますね。 それは、 『よく混ざる、 早く混ざる』という技術的・製品的な側面はもちろんですが、 住友に相談すれば何か解決の糸口が見つかるかもしれないという、 当社のメンバーに対する期待のようなものもあるのだと思います。 その背景にあるのは、 化学工学的な提案アプローチの豊富さと、 お客様の課題をあらゆる角度からサポートしていくという当社の伝統的な意識ではないでしょうか。

私はグループリーダー(課長)として若手を育成する立場にありますが、 社内では「捕まえられない課長」と言われています。 それは、 日本中を飛び回ってお客様とお話をさせていただいているからなのですが、 やはり直接お話をしないとお客様の本当の課題というのは見えてこないですよね。

当社には博士課程出身者が多くいますが、 やはりそうした若手のメンバーにも、 この姿勢を大切にしてほしいと思います。 労苦を厭わずに動き回ることで様々な検討課題を見出し、 チャレンジングな検討をする。 それを重ねていくことがメンバー一人一人の力となり、 ひいては当社の強みにつながって行くと思います。 お客様から課題を聞いた瞬間に、 「そういえばあの時こんな検討をしたな…」と即応できる、 そんな引き出しを増やしていってほしいですね。

これまで様々なプロジェクトに関わってきたわけですが、 印象的なエピソードはありますか?

やはり、 自分が最初に参加したプロジェクトは思い出深いものですね。 とある化学メーカーさんのスチレン系樹脂製造向けの重合槽を実験段階から担当したのですが、 プラントに入れてもらえない会社さんも多い中、 運転開始に立ち会わせていただいて。 反応開始からちょっとずつ液量を上げていくんですが、 最初は焼け焦げたような色をしていた製品がだんだんとキレイな色になっていって、 後段のプロセスに流れていく様子を見たときは本当にやり遂げた感がありましたね。

その樹脂製品はある分野で非常に高いシェアのある包装材として、 日々何百万人という人々に使われています。 私自身もそれに触れるたび、 当時を思い出しますね。 これが、 この仕事の醍醐味ではないでしょうか。

世界で戦うお客様の武器となれる存在でありたい

化学業界に限らず、 様々な産業分野で世界的に競争が激化しています。
日本企業が世界で戦い抜くために、 撹拌技術はどんな貢献ができるでしょうか。

たとえば日本の化学メーカーは、 特殊なポリマーの製造などに特化してスペシャリティを出すことで、 価格競争を避けて独自のポジショニングをされている企業が多いように思います。 こういった特殊なポリマーは大型の撹拌翼でないと作れないようなことが往々にしてあります。 当社の技術や製品を活用してもらうことで、 二基の撹拌槽を一基に統合出来たり、 製品の歩留まりを上げたり。 世界を相手に競争をしていくための初期投資やランニングコストの軽減なども実現が可能です。 世界で戦っていくための武器として、 当社の撹拌技術を生かしていただけるようなシチュエーションもありうると考えています。

住友重機械プロセス機器の撹拌技術について、 今後の展望は?

意識的に、 将来に向けた種まきをしているところです。 若手メンバーには、 いくつかのチャレンジングなテーマに取り組んでもらっています。 既存の撹拌の枠に収まるのではなく、 「撹拌を軸に守備領域を広げていく」イメージで、 常に新しいことを探しています。

我々は、 お客様が進歩を続ける中で、 常にその進歩を手助けできるような存在でありたいと考えていますし、 そうあるための取り組みを今後も続けていきます。 企業のプロセスご担当各位には、 「こんなことを考えているんだけれど」「こんなことは出来ないのか」など、 ぜひお気軽にお声がけをいただければ幸いです。

当社のプロフェッショナル
竹中 克英

住友重機械プロセス機器株式会社
技術部 撹拌技術グループ グループリーダー 博士(工学)

大学では化学工学を専攻。 学部時代から博士過程まで、 撹拌一筋に研究に取り組む。
博士号取得後、 化学会社を経て住友重機械工業に入社。 以後、 撹拌一筋で技術開発を担当。

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