貴方の知らない撹拌の世界 ~よりよく混ぜて、よりよいプロセスに~

初級コースその2:
「撹拌の目的」の具体例

前回、『撹拌の目的を知ろう!』というお話をしましたが、いかがだったでしょうか?
さて、今回は『撹拌の目的の具体例』について考えていきましょう。目的を定めることの重要性が、より分かっていただけるかと思います。

撹拌槽の内部は「単位操作のオンパレード」

世の中で運転されている撹拌槽の内部では、化学工学で言うところの『単位操作』、つまり、「反応」「混合」「分散」「溶解」「析出」「伝熱」「抽出」「蒸発」「蒸留」等のいずれかが、必ず起こっています。
例えば、反応熱を伴う晶析操作では、「反応」と「析出」と「分散」と「伝熱」が、順番に、もしくは同時に進行しているのです。

化学プラント用の機器で、熱交換器や蒸留塔、抽出塔等は、その装置の名称そのものが「目的とする単位操作」を示しているため、装置の目的がすんなりと理解し易いのですが、撹拌槽の場合は、その名称が「手段」を表しているため、目的が分かりづらくなってしまうのだと思います。

そこで、大雑把な話になってしまうのですが、『撹拌の目的は?』と聞かれた場合には、その撹拌槽を使用するご担当の方が「一番大事だと思われる単位操作」を目的とすれば良いのです。
撹拌の目的が定まれば、最適な撹拌槽とするために必要な機能と、スケールアップ時に注目すべき因子も自ずと明確になってきます。

無数に存在する選択肢から、重要な単位操作を見極める

それでは、撹拌の「具体的な目的」、「必要機能」と「注目因子」について、事例をもとに簡単にご紹介しましょう。

事例:
乳化・懸濁重合反応で、生成ポリマーの粒子径と分布を制御したい

このプロセスの場合、撹拌槽の中で母液となる水の中にモノマー液を分散させて油滴を形成させ、その油滴の中で重合反応を進めることになります。重合時の発熱は、油滴表面から母液により除熱されるため、熱的には安定した運転が可能です。

撹拌槽の中では、「分散」「反応」「伝熱」等が同時に進行していますが、粒子径をコントロールしたいのであれば、いちばん重要な単位操作は、「分散」と言えます。なぜなら、撹拌により均一な分散が実現できれば、その粒子径と分布が制御可能になるからです。したがって、撹拌槽の目的は、「液滴や粒子の均一分散」となります。

次に、その目的を達成するために撹拌槽に必要な機能を考えます。このケースでは、撹拌翼の形状、回転数、邪魔板等の最適化を図ることで得られる、局部的な高せん断場の無い「撹拌槽内全域での均一な循環流の生成」こそが撹拌槽に必要な機能であると言えます。

さらに、スケールアップ時に注目すべき因子としては、「撹拌強度Pv(kW/m3)や翼先端速度Vt(m/s)」などが考えられるでしょう。目的とする粒子径とシャープな粒子径分布が得られれば、製品の品質と歩留まり向上につながることは言うまでもありません。

目的、機能、因子の見極めが品質・生産性の向上につながる

エンジニアの皆さん、ぜひ、貴社の製造プラントにある撹拌槽に関して、以下の3点を考えてみてください。

1.目的は?(つまり、一番大事な単位操作は?)
2.そのために必要な機能は?
3.その際注目すべき因子は?

今まで見えなかった改善ポイントが見えてくるかもしれませんよ。

撹拌槽についてのご質問、ご要望、お困り事など、住友重機械プロセス機器にお気軽にお問い合わせください。

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