蒸留・抽出設備 抽出設備

高い処理能力、 高段数プロセスに適した抽出塔

当社の往復動式抽出塔は、 広い操作範囲と高い処理能力を有し、 化学工業、 石油化学工業、 医薬品製造業、 非鉄金属業など
様々な分野の抽出操作において幅広く採用されています。

連続式である往復動式抽出塔の導入に際しては、 塔内における(分散相)の分散状況の把握が重要な設計因子となります。
パイロットテストによる実液運転での分散状況の確認、 抽出性能の確認、 等の各ステップを経て、 実機計画に向け確実なスケールアップを行います。

CHECK POINT 01 抽剤の選定

液液抽出プロセスでは抽剤の選定が重要です。 抽剤は、 原溶媒中の目的成分のみを少量の抽剤で大量に移動させることができるものが良いですが、 それとともに抽出操作を経済的に行うための性質を有するものが良いです。

例えば、 プロセス上では目的成分との分離が容易であること、 目的成分より沸点が高いこと、 原溶媒と抽剤の相互溶解が少ないことが望まれます。 また、 プロセス上、 優れた性質を持つ抽剤であっても、 それが高価な場合や入手が困難な場合には工業的に使用できるか等、 総合的に判断する必要があります。

CHECK POINT 02 平衡データの取得および
必要理論段数の推算

文献等に平衡データが無い場合は、 抽料と抽剤の比率を変えて振とうテストを実施し、 分液後、 各相の成分を分析し平衡曲線を作成します。 また、 既設備や知見が無く、 必要理論段数が不明な場合にはバッチシミュレーションにより必要理論段数を推算します。 バッチシミュレーションでは、 向流抽出を再現するために多回抽出、 分液操作を繰り返してゆき、 都度サンプリング分析することで、 目的濃度に到達しているか否かを確認します。

一例として、 所要理論段数4段に相当するバッチシミュレーションのカスケード図を左図に示します。 図中の丸印が抽出・分液操作を表し、 矢印が分液後の液の流れを示しています。 下段にあるE1およびR4を分析し、 目的濃度に達しているか確認することで、 必要理論段数に足りているかを確認します。

なお、 既設備がある等、 平衡データや所要理論段数の推測ができる場合は、 本テストを実施せずに次の手順に進むケースもあります。

バッチシミュレーションのカスケード図

CHECK POINT 03 パイロットテスト

往復動型抽出装置を設計する前には必ずパイロットテストを実施し、 スケールアップ用のデータを取得します。 パイロットテストでは、 目的成分の分離ができているかの確認に加えて、 以下の項目の確認を実施します。

  1. ❶ 連続相の選定(一般的には抽剤が連続相)
  2. ❷ 抽剤比
  3. ❸ 負荷流量
  4. ❹ 多孔板間隔
  5. ❺ フラッディングポイント
  6. ❻ ストローク数
  7. ❼ HETS(1理論段あたりの高さ)
  8. ❽ その他、 特に配慮すべき点の有無
    (ex.静置時間・析出物の有無および発生場所)

パイロットテストでは、 物性データでは判断できない液滴の状態、 流動状態を目視で確認し、 適切な状態となるよう調整することが重要となります。 また、 テストで実施した条件からスケールアップするため、 実機を想定したテスト条件を選定する必要があります。

パイロットテスト機

当社では、 パイロットテスト機の貸出を随時行っておりますので、 お客様の工場で実液を使用したパイロットテストを実施することが可能です。
テスト機は、 ガラス製で内部を目視確認できる構造です。 プレートスタック部の内径は25.4mm、 プレートスタック長さは1220mm、 1830mm、 2440mm、 3050mmの4種類から選択可能です。 HETSの過去のデータが無い場合は、 HETS=300mmと仮定してテストを実施し、 HETSを算出します。 その際に、 理論段数が不足する場合や過剰な場合は、 テスト機を組替え、 適切な長さとしてデータを取得します。

テスト機貸出サービス テスト機運転指導 パイロットテスト機

CHECK POINT 04 スケールアップ

パイロットテスト機で得られたデータから、 実装置にスケールアップする手法が確立されています。
本装置の特長として、 プレートスタックは径方向には相似の構造をしており、 プレートの動きも往復動であるため、 性能に対して径方向の影響がほとんどありません。 したがって、 塔径はテストで実施した負荷流量と合うように塔径を決定することが可能です。 ストローク数とプレートスタック部高さは当社ノウハウにより決定します。 テスト結果を反映した性能曲線は以下の通りとなります。

スケールアップ

用途

代表的なプロセス
プロセス ビタミン類、 エステル類/脂肪酸類、 ミネラル類、 精油、 銅溶液、 スルファ剤等の薬剤、 ニトロベンゼン/ニトロトルエン
水溶液中の酢酸、 水溶液中のフェノール、 ウラン、 核燃料、 抗生物質
各種異性体、 ニッケル/コバルト等の金属
処理液中のフェノール、 有機物質、 無機物質
リン酸、 抗生物質
混和性溶媒/不混和性溶媒
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