はじめに 撹拌講座 SEASON Ⅱ
「撹拌講座 初級コース」では、 撹拌槽の使用目的、 スケールアップ、 動力、 伝熱等に関する勘処(かんどころ)を12回に亘ってお伝えしました。 その後、 読者の皆様から、 「撹拌槽の基本設計手法やスケールアップに関して、 さらに実践的な話を聞きたい」との多くのご要望をいただき、 それにお応えするべく「撹拌講座SEASON Ⅱ(実践コース)」の講座を開設いたしました。
本実践コースではタイトル通り、 研究開発や生産現場でのより実践的な場面を想定し、 撹拌設備の最適化を図る上での考え方をご紹介していきます。 例えば、 「撹拌槽メーカーのエンジニアは、 何を考えて撹拌槽の仕様を決めていくのか?」とか、 我々のお客様にあたる「ユーザーの皆さんは、 ラボ実験結果からどうやって生産設備を計画していくのか?」とか、 「既存設備の生産性向上の検討・改善にはどんなアプローチがあるのか?」等です。 また、 出来るだけ分かり易く、 楽しく読み進めていただけるよう、 日々、 顧客と一緒に様々な課題と向き合って仕事をしている撹拌槽メーカーやユーザーの若手エンジニアが主人公となって、 理不尽な要求を出してくる鬼上司の指令に対し、 悩み・苦戦しながらも解決・成長していく姿をショートストーリー形式でお伝えしていきます。
当社の強み(コア・コンピタンス)は、 「顧客エンジニアの技術パートナーとなること」です。 過去から現在、 さらにはその先の未来を見つめ、 顧客エンジニアの味方となって一緒に悩み・考え抜いて、 より良い装置を提供していきたいと考えています。 機密上の面から全てをお伝えすることは出来ませんが、 エンジニアとしての普遍的な考え方やステップが、 皆さんのプロセス改善や新規開発のヒントになれば幸いです。
では、 SEASON Ⅱ(実践コース)のスタートに先立ちまして、 コンテンツ予告編を少しご紹介します。 さぁ、 鬼上司からどのような厳しい指令が出ているのでしょうか。
運転液量、 粘度、 密度の3情報で、 撹拌槽の基本仕様をすぐ決めろ!
撹拌槽メーカーが機器仕様を決める際、 ある思考ステップに基づいたものとなっています。 扇風機の強・中・弱の回転数がどの家電メーカーも大体決まっている様に、 撹拌槽も使用条件によって、 どの程度の混ぜ方が適切なのか、 おおよその勘所があるのです。 こちらでは、 メーカーエンジニアの仕様決定時の思考ステップをご紹介します。
顧客のラボ試験データから、 実機仕様を決めて投資費用を出せ!
既設実績情報がない新規開発商品では、 ビーカースケールの試験データを基に、 実機サイズへスケールアップする必要があります。 場合によっては、 メーカー側での模擬液での試験等を行ってスケールアップに必要な化工データを取得することもあります。 こちらは、 スケールアップ・スケールダウンに関してのお話しです。
既設生産ラインの撹拌槽の生産性を上げる対策案を出せ!
既設撹拌槽の生産効率向上は、 プロセスエンジニアの永遠の課題でもあります。 1バッチの運転チャートから各工程・操作の分析を行い、 律速となる工程とその主要因を探っていかなければなりません。 その検証のためには、 メーカー試験機でのスケールダウン試験も必要です。
既設生産ラインの撹拌槽での品質を上げる対策案を出せ!
などなど・・・いかがでしょう。 皆さんが、 今まさに現場で直面しているであろう課題が多いのではないでしょうか。
初級コースの中でもお伝えしました通り、 企業のエンジニアには、 与えられた仕事のQCD(品質・コスト&納期)を全うする責務があります。 これは一朝一夕にできることではありませんが、 皆さんが検討している撹拌設備では何が律速なのか?「一番大事な物」を「見抜く力」を、 鬼指令を乗り越えながら少しずつ磨いていきましょう。
また、 多忙な当社エンジニアがどこまで本原稿の締め切りを守れるか? という点にも合わせてご注目いただきまして、 まずは「乞うご期待!」ということで。
『撹拌講座 SEASON Ⅱ(実践コース)』 スタートです!
どうぞ、 宜しくお願いいたします。
- 撹拌講座 初級コース
-
- はじめに 撹拌の基礎用語
- その1 基礎の基礎、 撹拌を理解する3つのポイント
- その2 「撹拌の目的」の具体例
- その3 「粘り気」の単位が粘度
- その4 撹拌槽を巨大な粘度計と考えてみよう
- その5 動力変化で流れが見えますか(前編)
- その6 動力変化で流れが見えますか(後編)
- その7 撹拌Re数の本質を知ろう
- その8 スケールアップの基礎の基礎
- その9 スケールアップの基礎
- その10 撹拌槽の伝熱性能とは?
- その11 槽内側境膜伝熱係数hiとは?
- その12 撹拌講座の総括